歯形
とろり



子宮ではなかったという。
母でないものから生まれたということだった。
私たちはかつて男の一部を削られて
この世に生を享けたと
せんせい、ではこの器官は誰の名残りなのですか。



男のなかにないこれが
月毎に私たちを苦しめている。
生みたくもないのに
そうね、生むのなら星が良いわ。



子宮の内側に歯形があるといもうとはいった。
それは私のつけた
いいえ、姉のものだと母はいう。
六歳で儚んだ姉の
それが唯一名残りでした。







自由詩 歯形 Copyright とろり 2011-08-05 13:06:51
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