ウォークマン買いました 第一回「一発屋ビリー・ジョエル」
たもつ


ウォークマン、買いました。
という非常に唐突感の否めない書き出しで恐縮です。
何故買ったのか、ということにつきましての詳細は省略しますが、端的に言いますと、我が家のコンポはリビングに1台と娘の部屋に1台あります。
コンポと言っても、本当にミニコンポで、むしろラジカセに近いです。ラジカセ、懐かしい響きですね。今でもこんな言葉、流通しているのでしょうか、とおまえは誰に聞いているんだ、という問題は抜きにして、さて、つまり私が音楽を楽しむためには、リビングで、という限定になるわけですが、家族といっしょにいる時は、ほぼ100%テレビがついてます。すいません、昔の人間なもので、見たい番組がなくてもテレビがついてます、最近は節電とあまりに内容がひどいプログラムしかないので、そんなことも減ってきてはいますが、まあ、何となく、テレビがついていなくても、代わりに皆で音楽鑑賞をする、というのも妙に違和感があります、その違和感はどこからくるのか、というと、なんたらかんたらで、どこが端的やねん!怒るぞ、こら!ということで以下、恐ろしく割愛です。
つまり、自分ひとりで音楽を楽しむひと時が欲しい、ということです。実に端的です。というわけで、ウォークマンに限らず、携帯音楽プレイヤーを買った人なら、必ずと言って良いほど、自宅にあるCDを入れまくる、という作業を行います。かなり断定的に書いていますが、特に調査をしたわけでも、世間話をしたわけでもないので、私の頭の中での断定にとどまります。
さて、ということで一通り、家の中のCDをぶちこんで楽しむと、次は新しい音楽を聞きたくなるものです。そこで、レンタルショップにゴーですよ。で、今まで興味があったけれど何となく外したくないな、なんてことで借りてなかったものにも手が伸びる、というわけですよ、奥さん!いえ、奥さんでなくてもいいんです。これは話の流れの中での、奥さん、であって、特に意味はありません。
そんなこんなで、レンタルしまくり、掘り出し物を探すために中古CDショップ巡りをし、タイ米をはたいて、もとい、大枚をはたいて新品のCDを買い、等々で散財しまくり、奥さんにはこのゴミのように積まれたCDどうするのよ、と言われたおかげで、いろいろな音楽と巡り会うことができました。
この文章で出てくる「奥さん」はもちろん私の奥さんであり、奥さんでなければならない奥さんであることを申し添えます、蛇足かもしれませんが。
 次からが本論です。お見逃しなく。せっかく、いろいろな音楽と巡り会ったのだから、その出会いについて、何か語りたいな、つまるところ、レビューのようなものを書きたいな、という衝動に駆られたところで、小動物を狩るのとは訳が違います。

 第二回目があるかどうかは別として、先ずは第一回のお題「一発屋ビリー・ジョエル」です。
 はいはい、そこのビリー・ジョエルファンの方、石を投げないように。PCのモニターが壊れちゃいますよ。ふふん。と、小馬鹿にした態度は時として敵をつくりますので、ほどほどに、という注意喚起とともにビリー・ジョエルです。
 ビリー・ジョエルといえば、ヒット曲が「オネスティ」しかない一発屋さんで有名です、正確に言うと、有名でした、私の中では。
 時を遡ること二十数年前、洋楽ブーム華やかなりしころ、居酒屋にはまだジュークボックスなどもあり、通ぶって「オネスティ」等を選曲してましたねえ。いえ、きっと「オネスティ」を選曲したあたりで「にわか」ぶりが露呈されているところなのですが、当時はそんなこと考えてもみませんでした。痛い子だったんですね、我ながら感心します。
 あとは、あれですね、サザンオールスターズの原由子の「私のピアノ」の中の一節に『雨の降る日はなんだかかんだか』というところがあって、自分はてっきり、「ビジョジョ」だと勘違いしていて、濡れて大変なんだなあ、くらいにしか思ってませんでしたが、その部分が「ビリー・ジョエル」だと知ったのは今から5年くらい前です。
 さて、何だかだらだらと面白くも何ともない文章が続きますが、そろそろ期待してください、面白くなりすよ、旦那!ここでいう旦那は、以下省略しますが、ということで2〜3年前くらいでしょうか、CMで実に印象深い洋楽に出会いました。
 最初、低めの男性の渋いボーカルで始まります。そしてワンフレーズが終わると、次に女性のハイトーンボイスがそれに続きます。おお、なんか斬新、と思い、CMの会社等で検索し、その曲がビリー・ジョエルの「ピアノマン」という曲であることを知りました。
 おお、あの二十数年前、「オネスティ」の一発で終わったビリー・ジョエル渾身の新曲、しかもデュエット、ということで、You Tubeで検索、ありました!酒場みたいなところで男がピアノを弾いて歌いだします。そう、あの低い渋い声で。渋いですねえ、かっこいいです。これがビリー・ジョエルなんですね。「オネスティ」を聞く限りでは、真面目で繊細な好青年というイメージでしたが、こうして見ると、むしろ、ちょいワルおやじです。
ワンフレーズ終わりました、いよいよ女性ヴォーカルの登場です。きっとピアノを弾くビリーの肩に手をかけて歌いだすんですよ、と思っていたところ、なんと!ナントの勅令ではありませんか!ピアノを弾いていたちょいワルおやじが、そのままハイトーンボイスで歌いだすわけですよ!使い古した言葉で言えば、衝撃が走った、という感じで、斬新な表現を探すほうが困難なくらいです。
いやあ、しびれました、これは。本当にかっこいい。もしかしたら、一発屋ビリーには他にも隠れた良い曲があるかもしれない、ということで、レンタルショップに、まっさかさまです。まっしぐらの方が適切だと知っていても。
そこで借りてきたのが「ビリー・ザ・ヒッツ」というベスト盤です。2枚組合計36曲収録、という超豪華版です。こんなに収録曲が多いと、「オネスティ」と「ピアノマン」以外は捨て曲のオンパレードではないか、という不安が頭を夜霧、いえ、過り、さてどうしたものか、という感じではありますが
しかも曲名を見ても知らない曲ばかりです。一曲目「素顔のままで」などは題名からして、どう考えても80年代のアイドル路線の曲名だし、曲名にはハリウッド、ニューヨーク、マイアミ、サイゴン等の地名が散見され、ご当地ソングが好きなんだな、ということがよくわかります。
 とはいえ、もう借りてしまったものを聞かずに返却するわけにはいきません。絶対に、です。
 聴き始めます。黙ったまま。一人で音楽を聴くときは沈黙する、という癖が私にはあります。昔からそうでした。二人以上で聴くときはそのようなこともないのですが。
一曲目「素顔のままで」。ああ、聴いたことあります。車か、あるいは車ではない何か他のもののCMで使われていた曲です。実にさわやかです。「オネスティ」のような繊細な好青年が歌っている印象。
サックスがいいですね。
 以降、聴き進めますが、どこかで聴いたことのある曲、あるいは、聴いたことが無くても、キャッチャーで、すっとメロディが頭に入ってくる曲が続きます。
そして来ました、「ピアノマン」。気がついたのですが、この曲って、ラーリラーリリラー、ラーリリラーリラーの部分を除くと、すべて同じメロディなんですね。声の緩急と曲調の展開だけでここまで聴かせるのは、歌い手の技量とアレンジの妙ですね。
 一枚目は後半、ややだれ気味な感じでしたが、最後の「ストレンジャー」。口笛で始まります。ううん、何だか古臭い。やがて、ジャンジャカ、とエレキの禅僧、いえ、前奏が。こ、これはもしかして「ルビーの指輪」?のような、そのような。そして、歌。
ああ、知ってます。チャラチャーン チャンチャチャン、これも何かのCMで使われていたような、そのような。うーん、渋いですね。これは明らかにちょいワルの方のビリー・ジョエルですね。
という感じで二枚目に突入。一曲目「アップタウンガール」。これもどこかで聴いたことがあるような、そのような。すいません、この言い回しはマイブームのようです。実にノリノリで良い感じです。
聴いたことがあるかも、という感じは、もしかしたらこのノリの良さに騙されているのかもしれません。とにかくいいです。二曲目を聴く前に三回くらい、正確に言うと三回、聴きました。
間にゴスペルっぽい曲などを挟み、地味目ですが四曲目の「ロンゲストタイム」も有名ですね。もはや、ここまでくると一発屋とは呼ばせませんよ、そうです、絶対に。
五曲目「ハートにファイア」。誰だ、こんな邦題をつけたのは。そんなやつはハートにファイアしてやる。などと、割とどうでもいい話っぽく進行しまして、「素顔のままに」もそうなんですが、何で邦題をつけたがるんだろう。「素顔のままに」はそれでもまだ努力の跡も見えますが、「ハートにファイア」はハートもファイアも外来語のままではないか、まあ、ハートもファイアも好きな言葉なので良しとするにしても、この邦題はどうにも地雷っぽいです。聴いていはいけない、ギャグのような曲のようなたたずまいがタイトルから漂ってます。そして聴きます。
知っている曲でした。そう、思い起こせば二十年くらい前でしょうか、小林克也の洋楽の番組で何度か聴いた記憶があります。何故か知りませんが、ずうっと、この曲はペットショップボーイズの曲だと思っていました。小林克也風に言うとペッ、ショッ、ボーですね(ペッ、にアクセントです)。ですので、軽くショックです。二十数年間の記憶が否定されました。程よいショックはやがて快感に変わります。そういうものです。
今までにない、実にダイナミックな曲調とビリーのヴォーカルです。ということで、すっかりビリー、と呼び捨てになってます。ビリー・ジョエルも十分呼び捨てなんですけどね。で、やっぱり気に入って何度か聴きました。外国の人が外国語で早口で歌っているものだから、全般に何を言っているのかわからない、のですが、ところどころ、聴いたことのある人名のようなものがチラホラと。もちろん、外国の人の発音なので、確定的なことはわかりませんが、大統領の名前とか有名人の名前とか、入っているような、そのような。ネタバレはしません。興味のある方、続きはWebで。これもWebですか。そうですか。
この後はわりと地味目な曲が続きます。知らない曲ばかりでしたが、良い感じです。一枚目と二枚目を比べると、一枚目は割とコンスタントにキャッチャーな曲、おそらく初期のヒット曲、が入っているのですが、繋ぎの曲、特に後半でだれる感じ。寧ろ二枚目は全体を通すと地味目なのですが、飽きがこない、そういう意味では二枚目の方が末永く聴ける感じです。
Amazonのレビューを見ると、何で○○○が収録されていないんだ、という理由で低い評価をしている方もいらっしゃるようなので、うーん、それならばアルバム単位で聴いてみるか、等と思案中の今日この頃、暑い日が続きますね。いつまでも鮮度を失わない、こういうアーティストや曲たちはスタンダードとしてこれからも愛されていくのでしょうね。
グズグズの文章につきあってくださった方がいたら、ありがとうございます。気がついた誤字は自分で突っ込んでおきましたが、自分でも気付かない誤字が多々あると思われます。間違い探しゲームの感覚で誤字を探していただけると、意外と良いひつまぶしになるのではないでしょうか。
ということで第一回「一発屋ビリー・ジョエル」を終わります。二回目があるかどうかは今のところ不明、ということで。


散文(批評随筆小説等) ウォークマン買いました 第一回「一発屋ビリー・ジョエル」 Copyright たもつ 2011-08-04 19:03:11
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