数える
草野春心



  初めて
  父にぶたれた日
  近くの河原へ行った



  ひとり座って
  痺れる頬をさすりながら
  川のなかの魚を見つめていた
  一匹、二匹と
  その生きものを数えては
  草の匂いを嗅いでいた



  或いは
  濁った空のなかに
  ぐにゃぐにゃと僕が沈んでいた
  一人だけ
  その生きものを数えると
  魚たちは去っていった




自由詩 数える Copyright 草野春心 2011-08-01 10:10:50
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