一滴のさよなら
草野春心



  わたしの喜びが
  きりきりと痙攣する
  ただ一滴で
  あなたの
  搾りだしたさよならのせいで



  落下するさよなら、
  道をゆく眼差し、
  世界じゅうの乾き、
  あらゆる否定がわたしの
  まっすぐな肯定を羽交い絞めにする
  どうしたらいいのですか



  どうしたらいいのですか
  たとえそれを忘れても
  忘れたわたしが残る
  あなたがわたしの
  胸に垂らしたさよならのせいで




自由詩 一滴のさよなら Copyright 草野春心 2011-07-30 18:15:04
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