エーデルワイス
あかり


ソプラノリコーダーを 手にとって
僕は エーデルワイスを 奏でます。

息を吹き込むと そこには
途切れ途切れでは ありますが
確かに 美しいメロディーが 流れるからです。

言葉というのは どうして よくも
あんなに裏目に でてしまうので

今日は今日で散々でした。

「熱があって宿題ができませんでした」
と言えば
「言い訳するな」
と言われ

「お腹が痛いので約束の場所にいけない」
と言えば
「裏切り者」
と言われ

「あの子のことが好きだ」
と言えば
「淫らだ」
と言われ


あぁ、僕は
いつまでも いつまでも 行き場を失い

ただこうして 生きていたい衝動を
誰かに伝える術も 分からず

ランドセルの奥に秘めた プラスチックナイフ
自ら その脅威に 怯えながら

小さな嗚咽を 繰り返すのです。


ミ ソ レ  ド ソ ファ
ミ ミ ミ ミ ファ ソ ラ ソ

今の僕にとっては その音階だけが

唯一 疑うことなき 真実なのです。















自由詩 エーデルワイス Copyright あかり 2004-11-15 17:52:18
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