ぽたぽた
nm6

トラックが音像を抜けていく
窓の外の道路はもう薄く白色で
ゴゴと過ぎていくやわらかな午後に
雨のあとに、やってきて
「やさしいよ、やさしいよ」と
トタン屋根の膝枕で眠る

記憶が脱ぎ捨てられた部屋の
積み重なった本と紙類の
とり散らかった予定の
スリーピー、過剰
もう一台音像を抜けていく
ゴゴと過ぎていくやわらかな午後に
こどもの政治が荒川区をかきまぜて
都電沿いのバラがつゆに濡れる
ヘルメットの老衰が湿気を振り切って
都電沿いの柵が錆びついて笑う

畳の部屋で耳を澄まし
窓の外の道路はもう薄く白色で
スリーピー、過剰
かぶさる午後の
いつかの
雨のあとにぽたぽたはやってきて
「やさしいよ、やさしいよ」と
トタン屋根の膝枕で眠る


自由詩 ぽたぽた Copyright nm6 2004-11-15 08:51:18
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