りょう/いきる
かんな


滑るように季節は過ぎて
そう
望みながら呼吸を
いっしょうけんめいくりかえしている
君にであって
こんなにもこころが溶けだして
やわらかさを増しているのは
しなやかになったのか
それとも
つよくなったのかと空にきいてみた

疑問や否定はいらないから
断定のことばを重ねてほしい
重ねられるものと
重ねられないものと
重ねてもどうにもならないものと
それらの狭間で
君の手はおおきくて
指はほそい
私の手と重なることで
なにかをつかめると信じている

君にあいたい
確かなものなどないけれど
確かめたいものは山ほどあるから
この夏を
追い抜いていくように
君の傍らに向かって走っていく
このつよい風をきって
前を向くことは
いきることとひとしい

同じでなくても
同じように
いっしょにいきる未来を
いっしょにいきることで考え
いっしょにゆっくり歩いていこうと
そういう君はとてもかろやかにステップを踏む
私もその
メロディに合わせて
踊っている

そうして
互いに少し汗ばんだ
シャツをつかんで抱きあい
鳴り止まない音に耳をかたむけ
ひっそりと
キスを交しあおう




自由詩 りょう/いきる Copyright かんな 2011-07-21 09:59:46
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