かなしみの四季
草野春心



  風が細り
  土が痩せる
  人の心は落ち葉のように
  秋には秋のかなしみ
  寄り添いあって焚き火をする



  闇が冷え
  光がけむる
  静かな予感で街は煌めき
  冬には冬のかなしみ
  ただ突っ立っているだけで



  水が歌い
  シャツが濡れる
  ふくらんだ胸を持てあまし
  夏には夏のかなしみ
  ひたむきな顔におちた陰



  花が咲き
  瞬けば消える
  何ひとつ残さず去ったあのひと
  春には春のかなしみ
  あんなにも愛していたのに




自由詩 かなしみの四季 Copyright 草野春心 2011-07-17 17:45:42
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