外気圧
……とある蛙


ピリピリとした緊張感
ジリジリとした外気圧
タラタラと落ちる
粘度の高い汗
ズブズブ沈み込む
液状化したアスファルト
ユラユラと揺らめく
水蒸気の先の遠景は
妖怪の吐く息 蜃気楼

青空に輝く太陽は
凶暴な色をした烙印を
押し付ける権力者で
優しさのかけらも無く



覆いかぶさる灼熱の空気圧
頭上の空は真っ青なのだが
解放感とは程遠く空の上まで続く
灼熱の空気圧の断層
真っ逆さまの空に落ちる
まるで溶岩の池に落下するように

眼前の道はドロドロに溶け出し
行き先のビルへ行くための
艀はしけは無い
道の両側の街路樹は
葉は無く鈍にび色の節暮れだった太い幹
枝は
一様に
垂直に
幹に
生え
骨のような枝葉

魚の骨の並木道
液状化された道と灼熱の太陽垂直に伸びた針のような骨
骨のような枝葉は
ドロドロな道の両脇を
乱雑で規則的なコンクリートの
建物の剥き出しの壁面から
道を守る

ズブズブに沈み込む靴を操りながら
もう一歩だけ
前に進もうとしているだけなのだが
異様に暑く
くらくら
ゆらゆら
ふらふら
ぐるぐる


自由詩 外気圧 Copyright ……とある蛙 2011-07-16 13:51:25
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