絵の帆船に漂って
番田
手に何も持っていなかった
何もないままに 私は 生きてきたのだ
そうして 歩いていた
遠い風景を目指して風の中を一人で歩いてきた
何のためだろう
わからないけれど 歩き続けた
誰のためだろう
一体 流れの中で目にしたものは何だったのだろう
機関車の黒煙を 私は見た
インドの 黄色い砂漠が 広がっていた
努力をすることほど虚しいことはない
それを 屍の積み上げられた風景が 教えてくれた
あいつはどこに行ったのだろう
有名大学から 一流企業に 就職して
この街からさよならも言わずに消えていった