小さな恋人たち
yo-yo

雨を赤く染めて、
山形から、小さな恋人たちがやってきた。
久しぶりに口づけをする。
いっときの、ほのかな甘み。
こんどは、いつ会えるかわからない。

小学校の校庭の、
熟して落ちていた、紫色の小さな実、
それしか知らなかった。

都会には、たくさんの果実があった。
地中海の色だという
リキュールの海、赤いさくらんぼが浮かんでいる。
口に入れたものかどうか、薄いグラスの中、
小さな恋がためらっていた。

甘くて苦かった、小学校のさくらんぼ。
紫色の舌を出しておどけている。
地中海の海よりももっと、深くて遙か。
虹をのこして立ち去った、雨のようにあれも、
小さな恋人たち、だったかもしれない。







自由詩 小さな恋人たち Copyright yo-yo 2011-07-10 07:45:16
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