悲しくなかったから
チアーヌ

あれから
どれくらいの時が過ぎたのかなんて
思い出せないけれど
わたしは夜の11時頃
仕事帰りにひとりで
国道4号線沿いの
びっくりドンキーで
ハンバーグディッシュを食べていて
つい
水をこぼして
読みかけの文庫本を
濡らして
水は床までぼたぼたと垂れて
わたしは
店員を呼ぼうと思ったのだけれど
なぜか
声が出なくて
耳鳴りがして
めまいがして
それが収まったのは
しばらくたってから
店員は気がつかなくて
わたしも
もう
どうでもよくなっていて
あれから
どれくらいの時が過ぎたのかなんて
わからないけれど

わたしは顔が上げられなくなって
そのまま泣いた
たぶんもう
悲しくなかったからだと
思う



自由詩 悲しくなかったから Copyright チアーヌ 2004-11-13 19:04:19
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