朝の蛍
umineko

あと
いくつ夏があるだろう
母のいる夏

母に
もしものことがあったら
私は
どんな風に送るだろう
出来れば

いくつかの詩と
数え切れない花束で
彼女を 包んで

黄泉の国まで
さみしくないように
私が
添い寝してもいい

たぶん
兄は反対で
ご近所の人
みんな 招いて

お酒を振る舞い
おむすびを配って
たくさんお辞儀して
たくさん 泣くのだ

どちらも
ただしくて
どちらもが
まちがい

私の母と
兄の母では
きっと
何かが違うから

そうして
私たちは知るだろう
愛の
かたちはひとつではなく

人の数ほど
想いの数ほど
きっと
それがほんとうで

朝に飛ぶ
蛍のように
見えない強さで
私はいこう

明日
きっと大丈夫

私は
きっと大丈夫




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自由詩 朝の蛍 Copyright umineko 2011-07-02 00:31:15
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