この夏、このゆうべ
かんな

書きたいと
ひたすらに願うゆうべに眠る
ことばは
季節を持っていて
と同時に時間も持っている
私はいつも
それらを扱いきれず手放してしまう

夏、は早朝に海に向かって走っている
そういうイメージで
接してしまうから
昼過ぎの
風鈴に流れるたおやかな風のメロディに
私はいつしか
大きな間違いを見つけて
抱き続けることをやめてしまう

いくらかの季節といくらかの時間を
ことばにできずに
手放してきたことに

書きたいと思って書いている
この夏
このゆうべ
表しきれない事象の先に
ことばを連ねて抗う
ひたすらに
生きるということ。




自由詩 この夏、このゆうべ Copyright かんな 2011-07-01 06:18:55
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