この夏、このゆうべ
かんな
書きたいと
ひたすらに願うゆうべに眠る
ことばは
季節を持っていて
と同時に時間も持っている
私はいつも
それらを扱いきれず手放してしまう
夏、は早朝に海に向かって走っている
そういうイメージで
接してしまうから
昼過ぎの
風鈴に流れるたおやかな風のメロディに
私はいつしか
大きな間違いを見つけて
抱き続けることをやめてしまう
いくらかの季節といくらかの時間を
ことばにできずに
手放してきたことに
今
書きたいと思って書いている
この夏
このゆうべ
表しきれない事象の先に
ことばを連ねて抗う
ひたすらに
生きるということ。