はじめてだっしゅつ
月山一天


ぼくは今日も二つのくつを見下ろしています。

しーんとなった廊下で、

じつはきのうもここで
みぎとひだりと
ひだりとみぎと
どっちがみぎで
どっちがひだりだと
ぼくの足と
くつがこんがらがるので
今日もぼくはここで
あきらめてしまう。

昼寝なんてだいきらいだ。
ぼくはいえにかえるんだ。
いつもねたふりするまさくんが、
ねないと今日こそは
おし入ればあさんにつれてかれると言っていた。

だから今日はくつはおいていく。

ぼくは
ハダシでほいくえんをとび出した。

ぼくは飛んだ。

走って

とんで

走って

風のようにまちをかけぬけた。

うん。


じゆうなぼくには、

くつなんていらなかった。






自由詩 はじめてだっしゅつ Copyright 月山一天 2004-11-13 13:34:37
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