茶碗
塩崎みあき

ことと
置いた所から

緑の深い村の
ひび割れた
土瀝青が広がる
夏のまひるは
黒く歪んで

両の手におさめ
土の道を
寂しくあるく
芒の夕闇
底溜まりに見て
目を細くした

伝わる熱の
しんしんせつせつ
雪積の
段々畑を歩いてゆくと
かそけく灯り
遠吠えの村

欠けた淵の
記憶をまさぐり
青い竹林に
啼くのは鳥
ほの明いた
野に遊ぶ若い鳥
去年を
知りもせず
歌い踊る

硝子釉の中の
永久の春


自由詩 茶碗 Copyright 塩崎みあき 2011-06-19 23:03:52
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