おままごと
草野春心



  昔々、
  真昼の公園で
  だれよりも巧みに
  おままごとをしてみせた
  きみが主婦で
  ぼくが会社員で



  時は今、
  少し違うのは
  きみもぼくも働き
  ほんとうに結婚したこと



  ままごとのようにはいかず
  濁流のなかで押しこむ茶碗飯は
  あの頃、
  戯れに口にした泥団子と
  一体どちらが美味いのだろう



  だが今も
  きみの視線は未だ直線だ
  向かいの席で
  洗濯機のまえで
  あの頃と
  寸分違わぬ深みから
  きみの視線は未だ直線だ


  *


  夜、暗がりで
  きみが寝ているあいだに
  きみの眼から
  小さな笑い声が聴こえてくる



  そっと目蓋をこじ開け
  覗きこんでみるとそこでは
  きみとぼくがままごとをしているのだ
  永遠に



  永遠のように




自由詩 おままごと Copyright 草野春心 2011-06-15 18:12:42
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