頼むからスケベ話はしないでくれ
花形新次

砕けたグラスの欠片で
その透明で鋭利な先端で
きみの白い薬指の内側に
すうっと線を引く

朱色の糸が一本
爪の先から降りてきて

僕はそれを
舌ですくってみる

Feよりも軽やかで
ひんやりとした
あまりにもきみらしい
メタルの味と香りを
「なんだかちょっぴり悲しいな」
と感じながら
喉の奥に流し込む

愛してるとは
言えないままで


自由詩 頼むからスケベ話はしないでくれ Copyright 花形新次 2011-06-08 18:07:13
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