とっても ルーズ
竜門勇気


忘れたくない
ことが集まって
それが
思い出だった

なんにも気持ちよくねーわ
忘れたくないのは
あんときだけ
あんときのことだけ

さらさらと
聞こえているのは
なんだろう
この部屋には
最初っから
誰もいねーけど
寂しくて
みっともない気分で
一杯になって
せせこましくて
むやみに


窓を開けるの
外を受け入れるの
おいしい料理を
ばらばらにして
そのかけらを品定めするなんていや

一番近くの森が揺れれば
やがて飛礫のような雨が来る
君は僕を忘れた?
飛礫が枕を濡らすのをみてた
だまって
大人しく

忘れたかったことが
時々やってくる
煙る雨の向こうに見える町の光
たまたま見つけた隠れた秘宝
殴りつける雨

忘れたくなかったことも
最近さびてきた
煙る雨
僕の代わりに僕が来て夢が終わる


なんにも楽しくねーわ
あめ玉舐めてるみたいだ
さっきと今だけを満たして
体の真ん中は痩せていく

ぶかぶかの体に小さな心が
がらがら揺れている
ぶかぶかの体
くもった心
憂鬱だけが俺を見放さない
死に神とボリッジを噛んでいた

明日行けるとこまで行こーか
明日なんてこねーのさ
待つだけ
悲しみを堪能しながら
できる排泄物
とっても ルーズ
身動きできない
したくないことができない
ただそれだけで金縛り
とっても ルーズ


自由詩 とっても ルーズ Copyright 竜門勇気 2011-06-08 11:04:13
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