そんな素敵さ
電灯虫

玄関が開き 掃除が始まる。
箒がほこりを集め ほこりが塵取に集められる。
年季の入った 赤のプラスチック製の塵取がチラリする。
中学校で使ったのと一緒ですね。
割れ目がないからそのものではないけど。
隣の派手な衣服を売ってるおばちゃんと
おはようから二三言 会話が始まってる。
朝に似合った コロコロッとした笑いは
通勤途中に前を通る サラリーマンの気も引かない。


玄関先を 自転車が通る中
掃除以外に動きがありません。
中は暗く 道路からでは店内の様子は窺えず。
帰宅途中の学童も 視界の隅に入れていません。
そもそも玄関すら認識していないか つぶれていると思っているか。
それでも 店内の暗闇はゆらぎません。
陽光に隠れて その影が増していくよう。


陽射しがうすーく伸ばされて
スーパーが活気を増す この時間。
パッと 玄関が動き出す。


店内の光が強くなり 玄関のシルエットを歩道に落とす。
一本の線で車道と隔たれている 歩道に覆いかぶさる。
その視覚から お店が始まっているようで大好きです。
開くと鳴る 店内側に付けられた鳴り物。
鳴るたびに先を越されたようで 悔しくなります。
カランコロン カラン。
コロン。
いらっしゃいませ は渋目がいいのです。


自由詩 そんな素敵さ Copyright 電灯虫 2011-05-30 01:47:47
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