夜想曲
涼深

藍色の街を見下ろす丘で
声もなく涙する背中は壊れそう

届かない光へと
変わらぬ愛を歌う
あの時から目が離せなくなった


くだらない誓い
見え透いた嘘
荊で織られた鎖と檻と

キミを取り巻く全て
否定することは容易いのに


潤んだ瞳が映す甘い楽園
偽りの日々がキミを満たすなら
今はただ望むままに

いつか
いつか
役立たずの鎖を断ち切り

いつか
いつか
大地の感触を思い出せるように



傾いた天秤はそのままでいい
軋んだ言葉が翼を黒に染めていっても

新月の水面に
波紋が広がっていくように
気がつくとキミを離せなくなった


ヒビだらけの誓い
縋り付く嘘
曖昧にキミを繋ぐ鎖と檻と

キミを築き上げる全て
否定することなどできなくて


潤んだ瞳に潜む不協和音
キミは気づかないフリをするから
甘い未来を口ずさむ



いつか
いつか
鍵のない檻から抜け出し

いつか
いつか
足元の小さな花に気づくように



冴え渡る月明かりに
瞬く星の欠片に
優しい静かな夜に

いつか
いつか
貴方が微笑う、その日がくるように


自由詩 夜想曲 Copyright 涼深 2011-05-28 15:15:52
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