粋なやつ
電灯虫

雑誌で特集されていた 最先端の仮面を買った。
形はフルフェイス型ではなく 鼻から額までを包むハーフ型で
ベースとなる模様は 赤・緑・青の三色。
アイラインにも一工夫されていて パッチリ感が半端ない。
家に持ち帰って デコメれば オリジナルな私の仮面だ。


合コンでのモテっぷりは 過去 最高かもしれない。
三人中二人から 後の個人的会合の申し出があった。
どっちも 仮面が素敵過ぎて 迷ってしまう。
新しい この仮面の効果は絶大かも?
興が乗って お酒も進むし よく笑っちゃう。


帰宅の過程が 振り返れないから 記憶なくしてる。
晴れすぎてて 二日酔いがあおられる。
下だけパンツ姿のまま 食卓に放っといた お気にの仮面を手に取る。


仮面の内側に 短い愛の告白が記されている。
マジックペンで 書かれていた。
仮面の内側の構造上 書くのは 地味に大変だっただろうと
字の曲がり具合から推し量る。
そこは 顔と仮面が 必然的にくっつかなければならないとこ。
こんなとこに刻まれたら ちょっと迷惑。
けれども 上手いな とも思う。
合コン相手の三人の誰かか はたまた別の記憶にない人か
可能性を絞り込めない。
でも そこに 刻まれた携番見ながら
あー こりゃかけちゃうなー と既に選んだ本命にときめく。
携番を 横の新聞紙に書き取って
マジックペンを消すための 
何かあんだろ それをホームセンターに買いに行くために
ご近所様の仮面を片手に 顔面を綺麗にしに行く。


自由詩 粋なやつ Copyright 電灯虫 2011-05-28 11:03:27
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