ひとつ うつろい Ⅳ
木立 悟






さらさらと
まとわりつくもの
ふりほどかずに
ねむる


首のまわり
言葉と鎧
うなじの角
避けられた 寝返り


粉より大きく
嘆きは浮かび
氷をほどき
夢なき夢から醒めてゆく


むらさきが
雨上がりを歩む
別のむらさきがあとを追う
朝が 朝になる


丘を幾つも積み上げた丘から
細い光がたちのぼる
音が音を削る
色になり 降る


光のはざま 
ぱらぱらと
わけへだてなくうつろう
尾でも羽でもある羽たち


指と指の無
いろがみが見るたかまり
そよぐそよぐ
指よごす


夜が夜の手を重ね
新たな鼓動と呼吸が生まれ
肺と喉の空白に
羽は降る羽は降る羽は降る


生は生に生き飽きて
水辺ではない水辺をめぐる
波のかたちを繰り返し
幾重にも幾重にも消えてゆく


うすいうすいふかみどり
どこまでもどこまでもふかみどり
すぎるもの また越えるもの
はためく先の先まで照らす


ささやきと揺らぎ
どの路地にも入り込み
崖からあふれ河口へ流れ
歩みつづけるむらさきに添う


午後が午後に降る
まとわりつくもの ただそのままに
何処へいこうと 何処とは何処かを尋ねずに
ねむる



































自由詩 ひとつ うつろい Ⅳ Copyright 木立 悟 2011-05-26 21:11:28
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