彼の結婚式
……とある蛙

ところで、彼の結婚式なのだが、
参列者は三,四人か
披露宴をどうするか
めでたい宴の陰に
猫の眼のような
光を帯びたクレパスが
ぱっくり口を開けている。

皆口々にお祝いを言い
いくらか多い人数の披露宴
食べ物では無い巨大なケーキが
必要以上の蝋燭の輝きを伴い
憂鬱な二人の人生の道行きを照らしている。

宇宙の一部としての結婚式なのだが、
自然の一部としての結婚式なのだが、
歴史の一部としての結婚式なのだが
誰の記憶に残ろうか

彼はケーキの前で座ってしまった。


それから


年老いて二人は
特に妻になった一人は
ただ悔いる
昨日も悔いる
今日も悔いる
きっと明日も悔いる
あの時が
ちょっとした気の迷いだと
断じて疑わない信じて疑わない一人。 


自由詩 彼の結婚式 Copyright ……とある蛙 2011-05-26 09:50:27
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