ひとでなしという 素敵な言葉
るるりら


川原で
宮川大助師匠のような顔をした生き物を見た
って 言って良いのは 花子師匠だけかもしれないけれど

ずんぐりむっくりとしたケモノだった
大きさは 犬と猫の中間くらい
川原を まんまるな物体が のっそのっそと移動する
茶色の毛皮
ホースのような尻尾をひきづりながら
耳は短い
おおきさに目を奪われるけれど、全体のシルエットだけを見ると
ネズミのような だけれど お顔は大助師匠

タクシーに乗り運転手さんに問うてみる
しずかだった運転手さんの意気があがる
みんな人の世界のことだけを思っていたのじゃあなかったんだね
嬉しくなる


「テレビでも観たんですけど、どうも最初は 食料として連れてこられて
飼われていたものの 捨てられたんじゃあないかって言ってましたよ」
どうみても 鈍重な動き、あの子は食料だったのか

うららかな 喰い詰めものの最期の場所
君自身の食べるモノは ちゃんと あるのか
恋人や家族は居そうにない
君に名前をつけた

なえぽよちゃん
君の名は 今日から なえぽよちゃんにしてあげるよ  
なえぽよちゃん 今日は いい天気だよ
錦鯉も泳いでいるし おともだちになってもらいなよ
人にやさしいね きみ

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---2011/06/02 14:26追記---
※なえぽよちゃんの本当の名前が わかりました。

どうやら、ヌートリアという生き物のようです。昔は毛皮として世界各国で飼育されており、日本でも戦時中は、飼育されていたようです。獰猛な生き物ではなさそうだと私も観察して感じていたことは 事実だったようです。ホテイアオイなどを食べる草食性のようです。
 タクシーの運転手さんは、食料としていたと言っていましたが、それは事実かどうかは解りませんでした。
 しかし、なえぽよちゃんは、私が考えた以上に 人とはどういう生き物であるかを 私に示唆させてくれました。  戦時中の なえぽよちゃんの祖先は軍隊の「勝利」にかけて「沼狸」(しょうり)と呼ばれ、1944年ごろには、日本全国で4万頭が飼育
されていたのです。

獰猛さの微塵も感じさせない 風貌の生き物を、私たち 日本人は「しょうり」と呼んでいたのです。
ヌートリアは外来の生物であり、現在では既存の日本の生物の生態系を、おびやかしているとして、駆除なども検討されることもしばしばあるなか、なえぼよちゃんたちは ほそぼそと 生き抜いているようです。

※なえぼよちゃんの本当の名前について、おしえてくださった方に 深い感謝をささげます。ありがとうございました。
---2011/06/02 14:26追記---


自由詩 ひとでなしという 素敵な言葉 Copyright るるりら 2011-05-25 08:03:15
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