夜明け
シホ.N


暗くてもいいのだ
でも弱々しくてはいけない
偽善でもいいのだ
でも善の無力さはいけない
冷たくてもいいのだ
でもぬるま湯じゃいけない
信じてみてもいいのだ
でも批評眼をなくしてはいけない

私たちは
一度だって去勢などされなかった
あなたがたの
口をふさぎ
目をつぶし
したたる血に
かちどきをあげることだってできるのだ

澄みきった闇に
細い月がつきささっている
重い重い足どり
毒のぬけないからだ
月を見上げると恐ろしくなる
いつ
銀色の牙で
けい動脈をかみ切られるのだろう
ドクドクとふきだす赤が
夜明けの空へかえっていく


自由詩 夜明け Copyright シホ.N 2011-05-25 07:51:59
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