徹底する夜
シホ.N
窓の縦線だけが
くっきりと濃く
あわあわと振れる宙
影の格子の濃さを嗅ぐ
遠くて近い
雑踏のざわめきは
緊迫する耳の内圧につれ
次第に弛緩し浮遊する
易しい無理を
口びるにのせて
縦線だけが濃く強く
機械化してゆく目に貼りつく
窓の向こう
月は
赤く照って居て
世界中の匂いを集めて嗅ぐ徹底的な夜
自由詩
徹底する夜
Copyright
シホ.N
2011-05-23 00:24:58
縦