、 (ご利用は計画的に)
乾 加津也

 臍ではない
 あなたの中心
 にむかって



水平なのに
ピアノに載せた
しゃぼんが滑りおちるのは
ふぞろいな黒鍵のせい
です、

です、を手焼きせんべいのようにぱちぱち
裏返して
鳴りゆきを聴くの
です、
羊羹のような
鏡面仕上げの
柩の
響体から揺らめく水紋がたてば中心
よ、
そう
論証なら、よでもよくて
ホットパンツのおねえちゃんに覗き込まれて
思わず起きあがる
屍だって今じゃ3D
よ、

 主文
 フィロソフィー
 (蛇のかたち)
                  です、

中心とは申しましても
およそ皮をむいて
熟したりんごを食べるくらいの
まあ、読めなくもない
一文字一バイトくらいの判決
です、

(ここに前後を結ぶ適切な接続語を挿入して次のステージに移りなさい)
(ただし、適切でない言葉が挿入された場合はそこで終了となります)

硬直もせず
わたしが目前の像を結んだままに
一身腐乱とは
昔の人はよく言ったものですね
いやもしかしたら です、よ
どこで教わったんだか大伴家持を愛し、寿司やの小鰭に舌鼓を打つ
こよなく生粋のアラビア人なら解けるかも
堂々巡りは
くの字を三回
人差し指を舌先に湿らせて
するするぽん
どうぞどうぞ
この階段で
「ZERO」ステージへ



いつしか
水生植物たちも朦朧として萎え
ます、
(小声で)反応をまってい
ます、
中心は魚だったの
です、
中心は鳥ではなかったの
です、
世界の隅々に朝刊が配られたのだから、すでにいつでもないの
です、ます。

打っちゃいましたね
サムライ です、から
ふみはまだ来ぬかっ
ふみはまだ来ぬかっ
(同じ言葉の繰り返しは重複といって好ましくありません)
(受け売りといい)
ます、
それは
ヘウレーカ!
をどこまでも日本語でやってはいけないのと同じくらいの質量
です、



でも心配しないで
あなたなら
大丈夫
曜日がくれば
りちぎに七つ、しゃぼんを並べて
その角を曲がったところにある
黒光りのピアノの椅子に腰掛けるあなたの、必ず
中心は洗われ
ます、から
いまもさりげなく
必ず、に墨汁三つも垂らしながら
いい加減やめて頂戴、になるまえの
マテリアル色に染まる呼吸(いき)に
その中心が
期待に胸をふくらませているの
です、から





(葛西佑也さんの作品にインスパイアされて)


自由詩 、 (ご利用は計画的に) Copyright 乾 加津也 2011-05-21 18:10:20
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