返答
電灯虫

真っ直ぐな視線じゃなくて その少し斜め上
空中にある 円錐形を採用している 銀色の小さな突起物。
扉を開けば シチュエーションにそぐわない着信音が鳴り
詰め込まれていた伝言が 近所迷惑を心配させる音量で言う。
僕はそれを聞く。 伝言終わりに合わせて閉める。


帰り道 どんな宣伝効果を狙ったか 
色とりどりの蛍光灯で作られた 花火模様の点灯を見てた。
アナログを感じる その点滅は
LEDが普及してるといっても アンティークには届かない。
電気の走るままに 先端の蛍光灯まで目で追いかけて 
たった一度の 花火模様を見る。
もう一度初めから電気が走る。 ルーティンワークを見つめてる。


大事な定期試験だからこそ 白紙答案を提出した。
バイトの面接で 無言を差し出した。
何もしないことでも メッセージを表示しているなら
こっちの方が零れ落ちなくて良い と開き直った。


今日も浮かぶ 円錐形を採用する銀色の突起物。
開ければ 着信音と伝言が1つ。
伝言を聞きつつ 鞄を開けて 認めて置いた手紙を入れる。
伝言の内容から 返事はないと思う。
でも こちらの返事は必要だと思った。
だから 差出人欄はきちんと書いておいた。
伝言が終わりそうな頃合 カッチとするまで扉を閉める。


自由詩 返答 Copyright 電灯虫 2011-05-12 01:29:56
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