さみしさの雨
シホ.N


こんな雨の夜は
ぼくらのさみしさも後押しされて
心強い感じさえしたものだ
ぼくらのさみしさは
夜の雨に流されてしまうこともなく
やさしいままに
悲しいままに
雨の音と同調されてゆくのだ

明るい昼下がりの太陽の下では
ぼくらはさみしさを
おおい隠さなければいけないと思って
苦しみながら
人々の中へ入っていこうとするのだ
もうやって来るな
明るい朝
ぼくには
健全な魂で立ちあがって息をすることが
難渋なのだ

ぼくはもう
さみしさをかき消そうとしたりしない
ぼくはもう
明るい日の出と共に目覚めたりしない
ぼくは
虚無の鋭いやいばに引き裂かれるのでなく
虚無の大きな腕の中へと帰っていく

雨の音につつまれ
ぼくは感傷にひたっているわけではなく
ぼくはぼくらのさみしさと
ぼくらの虚無と向き合って
さしではなしをしようと思っている


自由詩 さみしさの雨 Copyright シホ.N 2011-05-11 00:09:57
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