夜と同化して
ジム・プリマス

夜と同化して
身体はだんだん透明になる
身体が透明になるにつれて
意識が広がってゆく
五月の夜の世界に広がってゆく
魂の内側で明滅する光
それにつれて魂の外側で
それに呼応するように
振れ始めるバイブレーション
瞼の後ろに広がる映像は
魂の深淵まで続く青色のアステカ蟻の行進
死の象徴のように
胸の内に姿を整えていくイメージは
天上まで遥かに続く金色の木蠹蛾の群れ
生の象徴のように
夜の世界ではただ風が舞っている
降りてくる
紫檀の色をした網の目のようなオーラが
輝きながら降りてくる
身体の外から回転する天球の波動が
伝わってくる
身体の内では回転する地球の轟きが
響いている
六番目の感覚が強い予感を告げている
天恵の訪れという
今夜はそれには相応しくない
僕はすこし醒めている
階下から伝わってくる猥雑な響き声が
天恵の訪れを妨げている
ドン・ファンのように祈り踊ろうか
でもそれは
僕らしくないような気がする


自由詩 夜と同化して Copyright ジム・プリマス 2011-05-08 04:50:27
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