酒呑み2
……とある蛙

仕事帰りに街を歩けば
赤い灯青い灯夕闇を照らす。

裏通り馴染みの
一杯飲み屋に
そこに
今日を捨てに行く。

そこでぼくは
ひたすら喋りながら
呑み続ける。そしたら
なんだか偉い人になってしまい

そこでぼくは
あんまり騒ぎまわって
呑み続ける。そしたら
なんだか痩せ烏になってしまい

そこでぼくは
ただ黙りこくって
呑み続ける。そのうち
なんだかのっぺらぼうになってしまい

そこでぼくは
えんえん意味も無く
呑み続ける。そのうち
なんだか熔けだしてしまい

このまま、呑み続けていたら
自分はどろどろになって
君は僕を見失ってしまうだろ

このまま、呑み続けていたら
自分が無くなってしまって
君は僕のことを忘れてしまうのだろ

でも何にもできないから
ぼくは酒を呑み続けて
なんだか顔が無くなってしまい

でも何にもしたくないから
ぼくは酒を呑み続けて
なんだかぐずぐずな粘液になってしまい

このまま、このまま
そのまま、僕の脳裏から
君がどんどん消えてしまう、

このまま、このまま
そのまま、そのまま
君が完全に消えてしまった。

ごめんなさい 家に帰れないで
おやすみなさい。



自由詩 酒呑み2 Copyright ……とある蛙 2011-04-30 10:07:02
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