かんらん石
mizu K



星をみようかと夜半そとにつっかけて出てみれば
降りそそいでいたのであった

降るような、とはよくいうが実際
音をたててばらばらと降るのがこんぺいとうのようだと
妙に冷静に思いながら
足もとにころがったそれをひょいと拾って隣の人は
わたしが止めるまもなく
ぽいと口に入れてがりがりやっている

おいしいの、と聞けば
よくわからないの、と答えた

しかし今日はなにかの流星群の日だったかと思いめぐらすが
そんな記憶もなくニュースにもなく犬も吠えていない
車のボンネットとか農家のビニールハウスとか大丈夫なのかな
と、星空をみるにはいささか野暮なことを
ぼけっと考えながらみあげていると
ふいに目がくらんで、ひかりがはじけて、いっしゅん

目に星がつきささったのだ
と思ったが、いっしゅん
の後には何事もなかったかのように景色はもどり
隣の人はあいかわらず
これちょっとあまいかもー、とがりがりやっている
あの、さっきさ、と話しかけたら
あれ?とのぞきこまれた

目が燃えてるよ
オリーブみたいだね、すごいね、きれいだね
と笑う隣の人のくちもとがふるふるとうるんでいるのは
星をなめたからかと
そのときは妙に冷静だったと思いたいが
実は内心どぎまぎしていたのをここに白状するが
むかし星をのんだかじやの話があったけどさ
きみは星のひとみのおうじさまになるのかもね
と隣の人はいう
ついでにわたしのおうじさまになっちゃってよ
とつけくわえるので我がむすめよ
これがたぶん逆プロポーズだったんだろう




自由詩 かんらん石 Copyright mizu K 2011-04-30 02:46:53
notebook Home 戻る  過去 未来