さくらから
月乃助

知らぬまに
むかえた春の
さくらの 花が散る
ただ、はらはらと

ほら、春かぜが みなもをはしる
みあげる橋のその下を
通りすぎる水上バスに きそいあい
少女のスカートを
ほんの少し ひるがえしながら
おまえは、
すがたをけす

行き場をうしなった
花びらが
風のうでをとおりぬけて
光のおどる先 水辺の波に
いきついた

明日を生きるために 散る花は、
どうしてか こんなに美しい
けして あわれではない
はなやかさにつつまれ

人のこころに
いつまでも ひとひらの
花弁のあわい色を
のこしていく






自由詩 さくらから Copyright 月乃助 2011-04-21 19:12:41
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