在ったもの、在ったこと
草野春心


  在ったもの、
  在ったこと。



  窓のむこう、
  ふかく呼吸している、
  世界へと笑うこと。それが
  ただひとつの望みだった、
  きみと会って。



  ぼくの心が、
  時間をかけてふくらんでゆく。
  言葉が在るということが、
  こんなにも苦しい。



  きみの影が、
  部屋の床に伸びている。



  在ったもの、
  在ったこと。それは
  ぼくの歩く暗がりのなかに、
  ふえてゆく街の灯り。






自由詩 在ったもの、在ったこと Copyright 草野春心 2011-04-21 07:24:10
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