たびびと
はるな
生まれながらに海にして
私は誰も待っていない
浮かべて揺れる大きさを
舟も陸もが優しさと
讃えはするけど繋がれず
生まれながらに陸にして
私は誰にも出会えない
在り続けるこの風体を
海も舟もが堅実と
褒めはすれども去ってゆく
生まれながらに舟にして
私はどこにも留まれない
流れるままの自由さを
陸も海もが勇敢と
羨むけれど突き放し
生まれながらに人にして
人間以外を望むとき
肌を撫でゆく風さえも
自分のものではないと知る
陸にあればの人ならと、
海に入れば水を飲み
舟に乗れば沈みゆき
陸に帰れば家は無く
仰ぐ空には一点の
星が燃えゆき脳を削ぐ