たびびと
はるな


生まれながらに海にして
私は誰も待っていない
浮かべて揺れる大きさを
舟も陸もが優しさと
讃えはするけど繋がれず

生まれながらに陸にして
私は誰にも出会えない
在り続けるこの風体を
海も舟もが堅実と
褒めはすれども去ってゆく

生まれながらに舟にして
私はどこにも留まれない
流れるままの自由さを
陸も海もが勇敢と
羨むけれど突き放し

生まれながらに人にして
人間以外を望むとき
肌を撫でゆく風さえも
自分のものではないと知る
陸にあればの人ならと、
海に入れば水を飲み
舟に乗れば沈みゆき
陸に帰れば家は無く
仰ぐ空には一点の
星が燃えゆき脳を削ぐ



自由詩 たびびと Copyright はるな 2011-04-19 16:06:11
notebook Home 戻る