The Band/The Stoney Beggining
はだいろ

中古の馬車に荷物を積み込んでいたら、
ロビーが集まれというので、
てんでに破れたコートのポケットから、
盗んだ缶詰をふりまきながら、
俺たちは来た道を振り向いた。

もうやめたい、とロビーが言った。
俺たちは、グレイハウンドの亡霊の口笛を聴きながら、
格好をつけるのは、
金や名声や、ましてこのどんなに薄汚れようと、
気高く青白い魂よりも、
上段の棚に飾られなければならない置物だと知った。
あの摩天楼を覚えているかい。
俺たちは、
あの世へ行っても田舎もののままだろうか。
もうおしまいさ、
俺たちは、俺たちの末路を、ずっと、前から、知っていた。
歌いだしたころのことさ。

リチャードが天国への階段をのぼりそこねて、
バスのいちばん後ろの席で、
俺のとなりで肩をすくめた。
今日が、生まれてから、今日までで、
最高の一日。







自由詩 The Band/The Stoney Beggining Copyright はだいろ 2011-04-14 20:02:36
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