シホ.N


死をやる
と決めたので
いろいろなものとうまくやっていくことが
もはや困難になってしまった
死をやると決めたので
折りあいつかなくなってしまった
そのようにしか生きられなくなった
内なる声を自らのものとするなら
そこにしか生きられない
それは痛み
そしてそこからくるカタルシス
弱すぎる

死をやる
と決めたことで
一人で生きることを余儀なくされた
死をやると決めたことで
いろいろなものが共存できないものとなった
声なき声を聞こうとするなら
肉を切り開いて聞く主体をあらわにし
聞くことそのものにならなければならない

死をやる
ということはほんとうは
こんなに孤独なことではないのだ
痛々しいことではないのだ
死をやるということはほんとうは
眠れない夜
起きあがって闇に向かって
深呼吸することと同じなのだ
息をすることと同じなのだ
真・善・美であり
偽・悪・醜だ

死をやる
ということに対し
なんと大きな代償がいるのだろう
しかしながら切り刻まれる肉
失われてゆくものたちのかわりに
必ずなにかがやってくる
肉体が刻まれたならもはや
そのやってくるものたちを
この手や目でとらえることできず
見返りとして受け取る主体すらないのだけど
必ずなにかがあるはずなのだ
もっと先へ行けるならきっと
孤独を憎まずむしろ一体化して
新たななにかとの共存も可能なのだ
そんな予感が
いままさにやってくる
だから決めたのだ
しをやる             


自由詩Copyright シホ.N 2011-04-12 22:35:10
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