深呼吸
……とある蛙

青空に大きなマルを書いてみた。
その中心に自分がいて
その周辺に家族がいて
ぽっかりとした雲には願いが乗って
ふわりふわりと流れて行く

野原に寝転び
雲を眺めていたら
悲しいことや
辛いことや
心配なことや
苦しいことが
みんな空に吸い込まれて行く
ような気がして

青空に向かってもう一度
のびをして大きな息を吸い込む
こんな綺麗な青空にも
死の影を含んだ小さな粒が
たくさんあるのと逃げ出す人もいて
自分だけが助かったところで、
大きなマルの中で生きている僕らは
そのうち弱って萎んでしまう。
だから大きなマルの中で
今日もあくびの一つをする。

桜の花びらの舞落ちる野原
そのまま引っ繰り返って
青空を見ると
風のせいか、青空は縁が白く霞
青い金鍔のようで

どんなに危険と言われても
僕は大きく息を吸い込む
そして青空に吸い込まれて行くのだ
みんな一緒に
みんな一緒に


自由詩 深呼吸 Copyright ……とある蛙 2011-04-10 23:27:00
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