関東大震災時のデマゴーグから何を学んだか
今はお墨付き精度の数値で風評被害が拡散する
マイクロシーベルト、ベクレルとゆー単位の定義ではなく
習い初めた言葉の音響に不安を投射し踊る羊群
情報化社会の一喜一憂、右往左往

阪神淡路のカタストロフィーから何を学んだか
神戸市長田区の一面焦土の広域的再来を見る
そして今、寸断の解かれた道に透明の土嚢を積み上げ
白い防護服の隊員の他は足を踏み入れる者もない
自己保存の疎外に置かれた空白地帯

もはや災害規模ではなく世界の目はケーススタディ
ニュー・スリーマイルの事態収拾に向けられている
既に世界経済は投機に動き防御態勢を敷いて
日本経済の動向と自国経済への波及を窺っている
そして自治体ごと流浪の民となりつつある被災者は
生活基盤のないまま復興という字面に置き去られ始めている

酸鼻は埋め立てられるのみ、掘り返されはしない
古びた遺体は名前も呼ばれず運び去られる
喪失の沈黙の外で悲劇は人数に総括され、あたら
うろたえる者達の恐怖は別物にすり替わっている
流されるマッチ箱の如き自動車やドールハウスの光景
繰り返されるこの映像に早くも視聴者は慣れ
体育館の床上に蠢く黒い頭の様態にも飽き
窓を閉じドアを閉め、アットホームにかまけ出す
葬儀花輪の馬鹿らしい禍々しさは
そら涙を捧げたつもりで歯くそをせせる、
そんな手合の張る結界
愚昧
この不変の比率