廻る
殿岡秀秋

酔い
記憶が途切れている

グラウンド
前を走る人を抜くとき風になる

走馬灯
覗かなければただのぼんぼり

車輪
一本に見える

山の手線
書斎兼寝室

乳房
小学校から帰る時間が早かった日のこと。母はまだ寝ていた。ぼくがふざけて母のおっぱいをつかんだ。両親に連れていってもらった映画で、女優の胸の割れ目が見えていたのが印象にのこっていた。映画のおっぱいだといって、揺すると母は喜んだ。出社の準備をしていた父がぼくの首を掴んだが、強い力ではなくて、すぐに手を離した。父が困ったような表情をしていた。


雲が背中にくる


体の芯が動く


見続けるほどの根気がない


監視塔


音を立てて走っていく

メリーゴーランド
目があう手をふる馬がお辞儀する

庭園
二人の隠れ場所を探す


臍は静止している

運命
まだだ!



自由詩 廻る Copyright 殿岡秀秋 2011-04-08 03:46:26
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