辿る先に雪は降る
太陽の獣



なんとまあ、夜道の寒いこと寒いこと。
遠い昔、栄華を誇った強者共を絶滅へと追いやったという空話、疑い様も無い程です。
躰が震えるのは、所謂予感と言うものでしょうか。
すすり過ぎた鼻は阿呆の様に赤くなり、口の中の骨は騒がしく、かといって声は細く、自分の耳にやっと届くだけの「寒い」という音だけで、遠い昔、栄華を誇った強者共もこんな阿呆の様に滅んでいったのでしょうか。
見てごらんなさい、雪が帰り道を遮られて泣いていますよ。
私にしがみついて泣いています。
祓っても祓っても切りが無い、怨念にも似た冬のそれは、どうやら私を選んだようです。
夕方には確か、流れ星の様な雨が降っていたのですが、私に似合うのはきっと、寒い寒い夜道に降る、この冷たい死装束なのです。



自由詩 辿る先に雪は降る Copyright 太陽の獣 2011-04-07 10:30:13
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