春2
番田 


見ていないのは何だろう
プールの彼方に
見ることができたのは
寂しさのようなものだけ
遠い空の向こう側に
そうだった きっと 
きっと風だけが 流れていた
多くのものは そこに 見えなかった
見えたものは いつも そんなものだった


私は 夢だけを 思い浮かべていた
何もかも忘れたみたいに寂しい
とても 寂しすぎたのだ 
今でも それは はっきりしない
はっきりしているのはシルエットの影だけ
インターネットによって あらゆるものが省略されていく
笑うことも 最近 少なくなった
どこに 私は 向かうのだろう
風景だけの毎日が存在させられた
何かを いつも見ているようだった
あの少年の 微かな記憶なのか
出て行くことだけは 簡単だった
日常だけが ただ あるようだ 



そうではないものは何だろう
だけど 何もかも 自由だったらいいのに 
あの溜まっていた金はどこに行ってしまったのだろう 

何曜日だろう 今日は  
食パンを囓っていた  
たなびいていた 風だけが 
夢として見ていた気にさせられている
何もかもを 忘れてしまった 



一体 どこに 旅立つというのだろう
そして 一体 どこに 行くのだろう
人のいなくなった 景色の 中で
羽を生やして 飛んでいきたい


とても 辛いものを 食べている
冷たい水を 飲んでいる 
温かさに 満ちた 風呂に入りたい
靴も新しいものに 変えたばかりだ



自由詩 春2 Copyright 番田  2011-03-30 01:16:06
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