響 / ****'99
小野 一縷

君の包容力以上に ぼくの欲望以上に
この飛翔は力強い
その羽ばたきは 常識の追従を許さない
だが
舞いながら上昇し続けた その最後に
君がいたとしたら
この体は そこを死に場所にするだろう
亡骸を抱いてくれ

この心は それ以上やそれ以下を越す
新しい旅に出る

見据える者として
言葉どもを従者にし
又 それらの従者となり
新しい旅に出る

さようなら

舞い上がった 高みから行く末を突き落とす

波風の泡立ち 吹雪の咆哮
十字軍の末裔が 蹂躙してゆく
欲深い荒野
切り裂かれ 生もなく落とされる言葉達
猛き声を挙げることもなく 撒き散らしていくのは
詩の破片
残酷に刻まれた轍をなぞって
誰もいないここに辿り着いた者の名を
知る者は未だいない






ぼくは
詩作という発光音
その残響でありたい






自由詩 響 / ****'99 Copyright 小野 一縷 2011-03-27 21:22:35
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