caloris basin
mizunomadoka

採石場に行った
一面が雪に覆われて、水星みたいだった

使われなくなったプレハブの鍵を
壊そうとして指を切った
「絆創膏ならあるよ」と自分で言った

雪はまだ降っていて
すり鉢の底から空を見上げた
灰色の雲がグレートウォールまで続いてるみたい

ここが本当に、水星だったら
私は昼と夜の境目の
ほんの一瞬にしか生きていられない

これは宇宙の出来事だから
振り返ると足跡は消えた





自由詩 caloris basin Copyright mizunomadoka 2011-03-26 20:32:03
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