背比べ / 柱の想い出
beebee





君は背比べをしたことがある?
一度は家の柱に背中を付けて、
頭の高さのところに傷をつけた思い出があるよね。
高い人、低い人、色々だと思うけど、
ここが自分の高さなんだってところがあった。


兄弟や友達と比べてみても
よく分らなかった高さの意味が、
時間が経つと分るんだ。
五年、十年経つと、高さの意味が分ってくる。
自分の成長が分ってくる。
あれは高さじゃないんだよね。


残念だけど、僕の両親は金沢から東京へ出てきて、
小さかった家も今はないんだ。
あの時つけた傷はもう残っていない。
最後に見たのは大学生の時かな。
就職して東京に出て行った。
思い出すとでも、もう忘れてしまっていて、
今それを思いつくまで忘れていた。


今もふざけて柱に傷をつけたよ。
今度はだんだん縮んでいくんだろうか、
分らないけど。
自分の成長だけはまだ見えるかな。
しばらくしてもう一度見てみるよ。


 


自由詩 背比べ / 柱の想い出 Copyright beebee 2011-03-19 15:03:22
notebook Home 戻る
この文書は以下の文書グループに登録されています。
散文詩