二の丸公園にて
モリー

梅の花の香りを嗅ごうと
背伸びする私を視ずに
君は宙を眺めてる
白いワイシャツ姿の
君の周りだけ
特別に星が飛んでる

君の傍で季節を感じたかったし
まだ知らない景色を
穏やかな気持ちで見たかった

啖呵を切った誓いすら
努めぬまま、
拒絶されてしまった

―君がため春の野に出でて若菜つむ
雪の降る冬と梅の散る春
君と向き合ったつもりの、時間

熊本城には土筆だって生えるのね
明るく振る舞う私に
「ツクシは鳥だと思ってたよ」と
おどけてみせる真意を
私は、ちゃんと見抜いてる

―わが衣手に雪は降りつつ
今は涙で濡れるのよと
ため息混じりで呟いてみても
君は聞こえないふりをしてる

十七の私は確かに
異性の君に、恋をしていた
梅が散って
土筆が揺れてる


自由詩 二の丸公園にて Copyright モリー 2011-03-14 15:48:50
notebook Home 戻る