合作「冬虫夏草」
楽恵
アカハチ
踏みつけられながら
虫たちの仮装行列がゆく
感傷はいらない
氷原の宿主にとっては
すべて終わったことだった
楽恵
植えつけられた意思と
薄れていく意志との境界で
季節の桟橋は揺れ
暮れなずむ魂の振れ
山崎尊
地殻を移動する母岩の振動が
ある時は胡蝶の乱れ
またある時は善悪の彼岸
動的平衡の先で巡り合うならば
ここには何も残しはしない
xiao
答えのない秩序の土砂降り
それをひとつにまとめ
もう一度別の固体として
再生した
距離が歳月を衛星状に廻った
真島正人
目覚めた朝
それは晴れやかなしろだった
感染を恐れていた心細さは何処に
定型は点滅しながら
似通った装いを塗り替えてゆく
高梁サトル