産道
たもつ

 
 
小豆色のバスに乗る
車体の気配があまりしないバスだった
既に乗っていた人たちは
みんな別々な方向を見ているのに
誰なのかよくわからない
信号待ちをしている間に
道端の枯れた草花を見ていると
二つ前の席の人がくしゃみをして
それきりだった
サイレンを鳴らす救急車とすれちがう
付き添いも含めれば6回乗ったことがある
その回数が多いか少ないのか
誰にも決められないように思えた
いつの間にかうたた寝していたら
人に起こされた気がして目覚めた
窓に映った自分がこちらを見ていた
外はすっかり暗くなっている
いつか通ったことのある
産道によく似ていて
顔を両手で覆う
 
 


自由詩 産道 Copyright たもつ 2011-02-21 21:52:46
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