田園

野菜についた虫を一匹ずつ取り除く。
邪魔なものだから。
ばあちゃんは素手で取り除いていたが、
私は怖いからゴム手袋をして取り除く。
でも、つぶした時のプチ、という感覚が気持ち悪い。
気持ち悪い虫。

そんなことをしていたら、
近所の山が噴火して、
野菜畑は灰だらけになってしまった。
これはもう素手だろうが、ゴム手袋だろうが関係ない。
取り除ききれない。
洗っても洗っても、灰灰灰。
食べ物なのに、灰色でしなっと死んだようになってしまった。

神様よう。
もう虫もなにも素手で触るからよう。
お山さまさ、怒らすのやめでぐれねえか。
おら、こまっちまってこまっちまって。
なに食いモンがなくなっちまったがら。
近所の牛舎では、田中さんが牛が死ぬ牛が死ぬと嘆いでなあ。
お山さまにゃ勝てねえのよ、俺ら。
申し訳、ありませんでしたぁ。
本当に、申し訳ありませんでしたぁ。




※宮崎弁ではありません。


自由詩Copyright 田園 2011-02-21 10:18:21
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